私を抱きしめる
あまりにも気持ちが良すぎてこのまま気を失ってしまうのかと思う。
膣のこんなに奥のほうで感じたのは初めてだった。
こんなところが気持ちいいなんて今まで知らなかったわ。
またイッてしまいそう。
「あっ、ああぁーっ!」
意識が薄れていきそうになりながら、自分の膣壁が激しく収縮して中にいる社長を締めつけるのがわかる。
「うっ……」
小さなうめき声を出して、社長が達したのを内側で感じる。
急速にしぼんでゆくモノを、引きとめようとするかのように自分の内部が蠢いている。
「帰りが遅くなってしまったけど、家のほう大丈夫?」
「ええ、大丈夫です。
ときどきこれくらいの時間になることもあるから」
あんなに激しい行為をしたあとなのに、社長は不思議なくらいさわやかな笑顔でいる。
私も、それに合わせてあっさりした態度を取ることにした。
「このスカートどうしますか?」
「汚れてないから、元の場所に吊るしておこう」
社長はスカートを元に戻すとレジを開けて一万円札を一枚出した。
ちょっと考えてから、もう一枚出す。
「奈々子さん、これ受け取ってください」
「なんですか?」
目の前に差し出された二万円を見て、なんだか気持ちが醒めていく。
自分が怒った顔をしていることを意識したけど、どうしても笑顔にはなれない。
社長が困ったように笑いながら私に近づいてくる。
「これって、口止め料ってことですか」
私の口から出たのは、怒りのこもった固い声だった。
社長が柔らかく私を抱きしめる。
「そういうことじゃないんだ」
「じゃあ、どういうことなんですか」
「これっきりにしたくない」