温かい手
「シャワー、先にどうぞ」
「あ、はい」
あたしがバスルームに入ると、照明が七色に変化した。
部屋の中からガラス越しに見られてる。
こういうのずいぶん前にテレビドラマで見たことあったなあ。
陳腐な演出でそそられないと思ったけど、実際にやってみてもやっぱり面白くない。
武史さんは、こんなの見てて面白いのかなあ。
髪が濡れないようにピンで留めて、普通に体を洗う。
色っぽいポーズとかしたらバカみたいだもん。
「あっ!」
「髪が濡れるよ」
まさか、入ってくると思ってなかった。
シャワーの音でドアが開くのも聞こえなかったから、いきなり背後に立たれて死ぬほどびっくりした。
「シャワー貸してごらん」
子供みたいに、シャワーで体の泡を流してもらう。
「冷えないように、布団に入って待ってるんだよ」
「はい」
なんか調子狂うな。
年上と付き合うの初めてだからかなあ。
温かい布団にくるまって、男を待ってるのも悪くない。
目を閉じてると眠くなっちゃうなあ。
武史さんが布団に入ってくる。
体が温かい。
清潔な素肌が触れ合う感触って、こんなに気持ちよかったっけ。
祐二とはホテルに行ったことなんかないし、する前にシャワー浴びることだってほとんどない。
肌もあんまり触れ合わないし、キスもしない。
どうしてかな、好きじゃないから?
好きじゃないって言うなら、武史さんのことだって、まだ好きなわけじゃない。
でも、体はすごく気持ちいい。
「知美ちゃん?」
眠ってないことを知らせるために、まばたきしてみせる。
武史さんの唇が、あたしの唇に触れた。
どうしてだろ、あたし、震えてる。
武史さんってキスが上手なんだ。
「武史さん……」
手を伸ばして、武史さんのムスコに触る。
硬くなってる。
あたしの上で武史さんが体の向きを変えた。
お互いの性器を、手と口で愛撫しあう。
こういうの慣れてないから、うまくできないよ。
逆さまじゃなければ少しはマシにやれるのにな。
「あっ……」
なんで、あたしの一番感じるところ、わかるの?
「あぁ……っ……」
クリちゃんを舐められながら、指が浅く入れられる。
信じられないくらい気持ちいい。
武史さんの指が触ってるところがたぶんGスポットなんだと思うけど、自分ではわからない。
このままされ続けられたら、気が狂うか失神しちゃうよ。