遅い夕飯
布団に仰向けになった祐二が呼吸を整えてる。
自分のそこに指で触ると、ふやけた感触がした。
「ねえ」
「なんだよ」
「あのさ」
「わかってるから、ちょっと待てよ」
こういうときは普通の恋人同士みたいに思える。
こういうときじゃなくたって他人からは恋人同士に見えるんだろうけど、自分ではそう思ったことはない。
だって、祐二はあたしに付き合ってくれとは言わなかった。
「一回でいいからヤラしてくれ」そう言った。
そんなこと言われたのに、あたしは「いいよ」って言ったんだ。
「バカヤロー!」って、あのとき言えばよかった。
「ここだろ?」
「うん」
くちゅ……。
祐二の指が、あたしの感じるところをいじってる。
さっきは祐二がイッただけで、あたしはまだだから、祐二の指でイカせてもらうんだ。
いつも、そう。
あたしが祐二に教えた。
「指でこすって、イカせて」そう言って教えたんだ。
知り合ったとき十八になったばかりの祐二は童貞だった。
あたしはちょっといい気になって教えてあげた。
一回だけのつもりだったのになあ。
なんでこんなに長く付き合ってるんだろ。
「もっと、右のほう」
「ここか?」
「あん、そこ、強くして」
「知美」
「ああっ……もう……ちょっと……」
「こうだろ」
「あぁん、いきそっ」
「知美?」
「ああん、強く、お願い、もっと強くこすってぇ」
「知美、知美……」
「いやぁーーーっ!」
ああ、気持ちよかった。
祐二、上手になった?
「ひぇー、長げえから疲れた」
「ありがと」
「夕飯、食べてきたんでしょ」
「食べてない。
なんか、残ってる?」
「遅くなるのに、どうして外で食事してこないの」
遅いって言ったって、まだ8時半なんだけど。
うちの夕飯は6時半だからしかたない。
文句を言いながらも、ちゃんとひとり分のおかずが残してある。
お母さんありがとう。
昼間、祐二とスーパーで買った食料品は、祐二ひとりが食べる分なんだ。
あたしまで食べたら食費が足りなくなる。
あたしの仕事も実はアルバイトで、時給も安い。